Shibata and fukuyama Guitar Duo Site

yomoyamabanashi四方山話


四方山話は 日々の雑談を 私見で 自由気ままに書きます。
お気に召さないこともあると思いますが お許しください。
クラシック・ギターに関することを書いたり、書かなかったり・・・
深堀したり、しなかったり・・・
不定期に、時間があるときに、思いつくままに・・・
以前、掲載したものも掲載して・・・

       2024: Ken Shibata / Atsuko Fukuyama

『技術は何歳まで向上する のだろうか?』その2(筋肉について)

  by:柴田 健  2009.11.30

例えば、i 指(右手人差し指)でギターの弦を弾く時を考えてみると、弾弦するには掌側の筋肉を収縮させることになる。
しかしi 指には反対側(手の甲側)の筋肉も存在し、中指や親指側に動かす筋肉も存在する。
つまり単純に考えると4方向に動かす筋肉が複雑に絡み合って一つの動作を行うことになる。
俗に言う「力を抜く」(脱力)とは、弾弦に関しては、掌側の筋肉だけを収縮させ、それ以外の筋肉は全て弛緩させておくことに他ならない。
一見簡単に行っている(と思ってい る)行為も実は出来てる人はほとんどいない。
一般的に上手いと言われる人は、これらのことが自然に出来ていたり、訓練(知っている 知らないは別)によって習得した人のことを言う。
本来人間は、筋肉が収縮していることは脳で知覚できるが、筋肉が弛緩してる状態は知覚できない。
その弛緩している状態を知覚習得するのが「リラクゼーション」という分野である。
その他、演奏家向けに書かれた「アレクサンダー・テクニック」や自己催眠法、ヨーガ、禅 etc.と書店に行けばリラクゼーション関係の書籍が数多く並んでいる。
興味のある方は参考にしてください。

脱力が出来たから演奏が上手くなるか?

「ここで、脱力が出来たから演奏が上手くなるか?」と言うと、歯を磨いてから食事をするようなもので、本末転倒と云わざるを得ない。
「脱力が出来てないから演奏がうまくいかない」と言う人の中には、「実力をもうちょっ と上げた方がいいのじゃないの!」と言いたい人が数多くいる。

弱点補強であって、レベルアップではない

ここに本番では実力が60%しか出ないと言う人がいるとする。
その人が脱力法を収得し、本番で80%出せたとする。
しかしこの人の実力は上がったわけではない。
それより 実力を150%にすれば脱力法を収得しなくても90%出せると言う変な理屈が成り立つ。
つまり脱力法は①でも書いたが、弱点補強であって、レベルアップではないのであ る。
皆さん! 上達しにくくなったとき、「自分は脱力が出来ないからとか、・・・・
だか ら」と言って練習方法がマンネリ化し、手を抜いていませんか? これも一種の回避行為 である。
話は逸れるが、私はよく生徒から「私は才能がないから」「私は指は短いから」「私は歳 だから」を耳にする。
こういう人たちを私は「3から人間」と呼んでいる。
こういう回避 行為が染みついた人とはあまり話をしたくないものである。
脱力法も大事ではあるが、ここではまずレベルアップを図ることから述べることにする。
良い演奏をするには、技術が非常に大きなウエイトを占めることは間違いない。
演奏家はよくスポーツ選手に例えられる。確かに筋力をアップし、運動能力を上げることが実力につながるからである。
ただスポーツ選手は運動能力の高いことが即結果につながるが、演奏家の場合、それは単なる手段でしかない所に大きな違いがある。
しかし演奏家 にとっても運動能力を上げることは必須であり、それを避けては通れない。

「筋肉」とは

その前に「筋肉」とはそもそもどういうものであるかと言うことを知っておかねばならない。
筋肉は細い筋線維の集合体で、体を鍛えると最初は筋線維が太くなり、更に鍛えていくと筋線維の数が増えていく。
逆に使わないとまず筋線維が細くなり、更に使わないと、数が減っていく。
筋肉は断面積1㎠当たり3〜4㎏の力を発揮する。これは全ての生物において殆ど変わらない。

一般に60才では20才の時の約75%

筋肉の量は年齢とともに減りつづけ、一般に60才では20才の時の約75%になっていると云われている。
筋線維は大きく分けて「速筋線維」と「遅筋線維」に分類される。
速筋線維は速く収縮し、発揮する力が大きいが疲労しやすい。
遅筋線維は収縮力は遅いが持久力に優れてい る。
速筋線維と遅筋線維の比率は遺伝で決まり、訓練をしてもこの比率は変わらない。
しかし各々の筋肉は訓練によって運動能力を高めることが出来る。
一般的に男性は速筋線維が多く、女性は遅筋線維が多いと云われている。

マグロかヒラメ?

マラソン・ランナーの筋肉は遅筋部分が多く、100mランナーには速筋部分が多い。
遅筋線維は酸素を運ぶ血液が豊富なので赤く「赤筋」と呼ばれている。
それに対して速筋線 維は白いので「白筋」と呼ばれている。
魚の世界で見てみると、持久的に海遊し続けるマグロは「赤身」、瞬発力で俊敏に動くヒラメは「白身」なのである。
日本マラソン界の一時代を築いた瀬古利彦の速筋線維と遅筋線維の割合は3:7。日本人 ばなれした
ストライド走法で驚異的な走りをみせた中山に至っては2:8である。そして天才スプリ ンターのカール・ルイスは8:2で速筋線維が多い。
カール・ルイスがマラソン・ランナーを目指していたなら彼の名は歴史に残っていなかっ ただろう。
                                      ......to be continued

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